都民は歯肉のセルフチェック不足傾向に～東京都歯科保健目標より

都民は歯肉や歯のセルフチェックが足りない

東京都が掲げる「いい歯東京」をご存知ですか？「いい歯東京」とは、都民の歯や歯肉などの口腔に関する健康づくりを進めるための目安となる歯科保健目標です。目標は「全体目標」と「個別目標」の大きく2つに分けられていて、目標期間は平成23～27年までの5年間となっています。

「いい歯東京」の目標設定には、平成21年度に東京都の歯科診療所の患者を対象に調査が行われた「西暦2010年の歯科保健目標」が大きく関係しています。この調査結果によって、都民の歯やお口に関する習慣や関心のさまざまな傾向が明らかになりました。

「いい歯東京」って何？

「いい歯東京」の目標は、全体目標と個別目標の2段階で構成されています。全体目標は「歯と口腔の満足度の向上」と「8020運動の推進」という、健康づくりのための具体的な目標が特徴です。また、個別目標は「都民の健康」と「都民の知識・行動」の2つに分けられた23項目が設定されています。

そして、実はこの「いい歯東京」は、もともと平成12～22年度までの10年間の歯科保健目標だった「西暦2010年の歯科保健目標」の、達成度の結果を参考に新たに作られたものなのです。「西暦2010年の歯科保健目標」は、都民の歯と歯肉など健康づくりの指針として平成12年8月に設定されました。

「西暦2010年の歯科保健目標」とは

「西暦2010年の歯科保健目標」の大目標と中目標

「西暦2010年の歯科保健目標」の大目標では、「現状の口内環境に満足している人を増やす」ことを目指しました。また、3つの中目標では、それぞれ「残っている歯の数を増やす」「1本も歯がない人を減らす」「歯周病にかかっている人を減らす」という3点が目標として掲げられたのです。

「西暦2010年の歯科保健目標」の小目標

「西暦2010年の歯科保健目標」の小目標では、口内環境の健康のため、習慣の普及やリスクの低減を目的とした7つの目標が設定されました。これらの目標の達成には、セルフケアによる自己管理能力の向上と、専門家によるプロフェッショナルケアなどの支援が不可欠だといえます。

調査結果で分かった都民の歯科習慣

平成21年度に行われた調査によると、「西暦2010年の歯科保健目標」で設定された大・中・小の目標にうち、大目標と中目標のすべてに目標達成または改善がみられましたが、小項目は7項目中3項目が改善されないという結果となりました。

その中でも、悪化が顕著にみられたのが「セルフチェック習慣の定着」です。9割の目標値に対して結果は7割程度と、調査を行った目標の中で最悪ともいえる結果となりました。この結果によって、普段から歯や歯肉の状態をチェックする習慣がない人の割合が高いことが明らかになったのです。

歯や歯肉のセルフチェックの習慣が必要な理由

歯や歯肉の定期的なセルフチェックは、虫歯や歯周病の早期発見・早期治療につながることから重視されているのです。現在、歯周病と虫歯は日本人が歯を失う原因の上位を占めているほか、歯科先進国スウェーデンに比べて、日本人の70歳での歯の残存数に大きな差があることが分かっています。

残存歯数はアルツハイマー型に認知症に影響を与えるほか、残存歯数が少ない人は医療費が高くなる傾向にあることから、いつまでも自分の歯で健康に暮らすためには、月に1回以上の歯や歯肉の自己観察をおすすめします。また、虫歯や歯周病の兆候が見られたら、放置せずに早めに歯科を受診しましょう。

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